ピース又吉さんが芥川賞を受賞した小説を映画化した「火花」を見ました。
僕の感想ですと、この作品を見て涙を何度も流しました。
売れていない芸人に対して何も思ったことがなかったのですが、この作品を見ることで芸人になる人への印象も180°変わると思います。
そこで、今回は映画「火花」を見ての感想や見どころなども紹介しどんな人に見てほしいのかも書いてみます。
「火花」のあらすじ
この話をざっくりと説明すると、売れない芸人コンビ「スパークス」と「あほんだら」という2組の話です。
- 徳永太歩(とくなが):菅田将暉
- 山下真人(やましたまさお):川谷修士(2丁拳銃)
- 神谷(かみや):桐谷賢人
- 大林(おおばやし):三浦誠己
火花の序盤:徳永と神谷が出会う
芸人として目が出ない徳永は、熱海の花火大会の営業でお客さんに絡まれたのですが同じく営業に来ていた先輩芸人の神谷に出会い常識外れの漫才に惹かれ弟子入りをします。
神谷の支持で徳永に「俺の伝記を書いて」ということになり弟子入りをすることができます。
その上、神谷には美人彼女らしき人(真樹)と同棲しているんですよね。
真樹と神谷の関係は、恋人ではなく真樹の家に家賃も払わずに同居しているルームメイトといった関係なんですよね。
[char no=”1″ char=”もん”]同じ部屋なのに恋人同士でないなんて不思議![/char]
真樹も2人のことを見守っていて「徳永くんがいるなら」と神谷にお金を上げたりしていて、すっかりヒモのような感じになっていました。
ある日、スパークスとあほんだらが同じオーディションを受けるのですが4位と6位という結果の一方で見た目のインパクトがある鹿谷というピン芸人が優勝します。
[char no=”1″ char=”もん”]神谷と徳永にとっては鹿谷って苦手な芸人であったから売れていくのが悔しかったんじゃないかな[/char]
また、真樹に彼氏ができたということで神谷は真樹の家を離れなければならないことになりました。
神谷1人では、真樹の家に荷物を取りにいけないということで徳永も同行し2人の関係はさらに深まっていきます。
ところが、神谷と徳永の関係が複雑になってしまいます。
火花の中盤:徳永と神谷の関係に亀裂
スパークスとあほんだらが出演する漫才コンテストで、審査員から痛烈な批判を受けてしまいます。
あほんだらが録音したテープに合わせて漫才をするというネタを披露したのですが、芸人たちに大ウケだったのに批判されたことで神谷の中で何かが変化しました。
また、スパークスもテレビ出演が増え売れ始めたことで、師匠と弟子という関係に少し亀裂が入ってしまいます。
徳永がインパクトを上げるために金髪にしてテレビ出演をした後で、神谷から食事の誘いがきます。
神谷には新しく彼女ができており、彼女の家で徳永と3人で食事をすることになります。
ただ、この時の神谷(桐谷賢人)は迷走中で徳永(菅田将暉)の服装や髪の色を真似しています。
誰が見ても明らかに真似だとわかるのですが、ヒモになっていたことや弟子のマネをしていることにショックを受けた徳永が
徳永「マネは嫌!自分の模倣すら嫌だといってましたよね!」
と涙を浮かべながら神谷に訴えます。
[char no=”1″ char=”もん”]神谷にあこがれていた徳永にとっては、師匠に真似されたことってショックだったと思う[/char]
このことがきっかけとなり、神谷は自信をなくしていた自分に気づき、すぐに髪を切って徳永の前に現れました。
徳永は笑いこそありませんでしたが、好きな師匠が戻ってきたことに安堵したことでしょう。
火花の終盤:徳永が芸人を辞めた
クリスマスのよるに、徳永と相方の山下が公園で話し合いをしました。
山下は、ピザの配達のバイトをしながら芸人をしていたのですが彼女の妊娠が発覚したことで芸人を辞めようということを告白されます。
話合いの末に、スパークスが解散することになるんですが事務所も周りも解散することを止めませんでした。
[char no=”1″ char=”もん”]芸人の世界って、給料もよくないし同期だけがライバルではなく、年々新しい芸人が出てきて後輩が売れていくということもありますし仕方ないのかもしれません[/char]
最後のライブでスパークスは言っていることと逆のことを言うという漫才をするのですが、ほぼ徳永のアドリブで最後に熱い思いを叫びたかったのかもしれません。
打ち合わせとは違う徳永の行動に、山下も客席の方も笑いなど起こりませんでした。
おそらく、火花というのはこの最後の燃え尽きのことを指しているのかもしれません。
芸人を辞めた徳永は、不動産会社の社員になっているのですが数年ぶりに神谷から連絡あって合うことになります。
神谷は、まだ芸人を続けているのですがなぜか胸にシリコンを入れて、Fカップのおじさんに整形していました。
2人の道は芸人とサラリーマンと別れてしまったのですが、徳永の提案で熱海に神谷と一緒に花火大会を見にいくことになります。
その花火大会の打ち上げで居酒屋に入り神谷からこんなことを言われました。
神谷「10年間人を笑わせてきたのは、特殊能力をもったボクサーみたいなもんや。徳永みたいなパンチは殴れば殴るほど人を幸せにするし、徳永のパンチは他にはいない!だから芸人には引退がないんだ!」
芸人を辞めてしまった徳永に、芸人であったことで得られて「人を笑わせる能力」をあつくかたった神谷の言葉に徳永の心も動きました。
と同時に、居酒屋のポスターにお笑いコンテストがあることを見つけます。
神谷の提案で2人でコンビを組んで漫才をしようということになります。
神谷「とんでもない漫才を思いついた!」
と思いついたネタを幸せそうな顔をして徳永に伝え、上映が終了しました。
2人はおそらく、漫才をしたのでしょう映画ではこの先は描かれてしません。
「火花」の感想や見どころ
リアルな売れていない芸人のことが描かれていて、微妙な嫉妬であったり辞めていく芸人の感情を理解することができる作品だと思いました。
- 売れることを考え、やりたくない笑いを追求していく徳永
- 才能や発想が面白いけ観客受けしない笑いを追求する神谷
師匠として憧れていた人が、売れていく後輩を見て少なからず嫉妬する気持ちがリアルに伝わりました。
徳永が最後のライブで、反対のことを言うという漫才についても途中から「嘘ではなく本心」をに変わっていった気がします。
お笑いに対して、どうやったら観客が笑えるかを追求していった徳永にとって夢見た世界で成功するのはひと握りで頑張っても報われないことに対する怒りを観客に向けたのかもしれません。
そういう意味では、徳永の笑いって自分がやりたいことというよりも観客に合わせたネタになっていたのではないかなあと思います。
一方で、売れなくても奇想天外なネタを仕込んでくる神谷の笑いが純粋に自分が好きなことをネタにしている点で本当に芸人が好きでやっていて幸せそうに思えました。
徳永はサラリーマン、神谷はお笑い芸人という別々の道になってしまいましたが、神谷が徳永に「お笑いをやってきたお前のパンチは他にはない」といった言葉が、10年間は決して無駄ではなかったことを話していることに感動しました。
それだけでなく、木村文乃の変顔を見れたりすることも見どころの1つですね。
「火花」を見るべき人とは?
この「火花」については、夢に向かって頑張っているけど結果が出ないような人におすすめです。
売れない芸人にスポットライトを当てた作品って、これまでにあまり出ていないんですよね。
2011年に品川庄司さんが監督をした「漫才ギャング」という作品に続いて2作品目ではないかと思います。
お笑い芸人好きでも、売れない芸人がどんな思いをしているのかってわからないと思うんですよね。
どうしても、売れているか売れてないかで判断されてしまうため、売れてない芸人の苦労って理解することが難しいです。
この作品を見てから、売れていない芸人について見え方が変わるというかテレビや劇場以外でどんな努力をしているのかがイメージすることができます。
改めて、売れない芸人が売れるようになるための努力量がどれだけすごいのかを理解できると思いますし、「売れてないからダサい」じゃなくて「芸人かっこいいじゃん」という気持ちにさせてくれる作品だなあと思いました。
まとめ
今回は、映画「火花」についての感想や見どころについて書いてみました。
芥川賞を受賞した作品で注目されているのですが、やはり芸人が芸人のことを描いているということで見えない芸人の努力をイメージすることができました。
夢を追いかけている人は素敵だと思いますし、夏におすすめな作品です。
僕の見た評価としては、「★★★★★」ですね。